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2012.03.11
幻の光
筋☆3 エンタメ度☆2 音楽☆3.5 画面☆4 感動度☆3 思考度☆3.5
是枝裕和の処女作で、ヴェネツィア国際映画賞金賞受賞作でもある。
この監督の作品が好き。「空気人形」や「誰も知らない」など、みんな芸術性が高く、映像美が溢れていて、
且つ考えさせられる作品だ。とにかくハズレがないと思う。
原作は宮本輝の小説で、映画音楽を手かけるのは台湾のフォークミュージシャン陳明章。
音楽が功を奏したか、カメラワークも長回しが多く、一瞬侯孝賢の作品かと錯覚してしまうのだ。
大阪で貧しいながらも、それなりに幸せに暮らしていたヒロイン江角マキコの家庭だが、
ある日、夫・浅野忠信の不慮の死(自殺)に見舞われ、心が空っぽになる。
江角は幼き子供と能登半島の海辺の辺鄙な漁村へ赤井英和と再婚し、
一見普通に幸せそうな家庭を築くが、すっぽり開いた心の穴を埋めることができず、
ヒロインは抜け殻のままで生きている。
海辺の家の風景は、明るさの中にも、陰翳を感じずにはいられない。
全編にわたり、ヒロインの心の底が始終夫の死に不可解な感情を持ちながら、懸命に平然を装う。
修復しようがない喪失感は、大人にしかわからない哀愁だろう。
とにかく物静かで、ホームドラマらしく、
音楽と画面が相まった叙情がしみじみと来てる。
原作を手にして読んでみたくなる映画だ。
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